ご注文または会員ご登録の確認メールが届かないときにはこちらよりメールにてお問い合わせ下さい

酒母(酛)とは

酒母(もと)造りの映像

酒母(もと)は蒸し米、水、麹に酵母を加えたものです

酒母はもろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもので、日本酒造りには、良い酵母が大量に必要ですから、文字どおり「酒の母」といえます。 酒造りに必要な優良酵母が純粋培養されており、野生酵母や雑菌がいない状態に保つことが重要です。

乳酸によって、雑菌の繁殖を防止することや、使用時に酵母が正常な醪の醗酵に適した活性を持っていることも大切です。

《《さらに詳しく》》

[酒母]

酒母造りとは、酵母を増やす行程のことで、杜氏・蔵人言葉では「酛立て」(もとだて)と呼ばれています。 酵母にはブドウ糖をアルコールに変える働きあります、すなわち発酵作用があるものの、酒蔵で扱うような大量の米を発酵させるためには、微生物である酵母が一匹や二匹ではまったく不十分で、米の量に見合っただけの何百億、何千億匹もの酵母が必要となります。だが、実際の酵母の数を数える単位は匹ではなくcellと言います。

こうした状況の中で酒蔵では、アンプルに入っている少量の協会系酵母を特定の環境で大量に育てることになます。このように大量に培養されたものを酒母(しゅぼ / もと)または酛(もと)と言います。

作業としては、まず酛桶(もとおけ)と呼ばれる高さ1mほどの桶もしくはタンクに、麹と冷たい水を入れ、それらをよく混ぜます。すると水麹(みずこうじ)と呼ばれる状態のものができあがります。酛桶は、最近では高品質のステンレス鋼のものが多く、どうみても「タンク」といった風体だが、醸造器としてはあくまでも「酛桶」と言います。 そのあと水麹に醸造用乳酸と、採用すると決めた酵母を少量だけ入れます。採用する酵母は、多種多様な清酒酵母から、造り手が目指す酒質に適すると考えるものが通常は一種類だけ選ばれるが、その酵母があまりにも強い特性を持つ場合などには、それを緩和するためにもう一種類の酵母をブレンドして入れることも多いです。

上記のものに蒸し米を加えると酒母造りの仕込みは完成です。あとは製法によって2週間から1ヶ月待つと、仕込まれた桶の中で酵母が大量に培養され酒母すなわち酛の完成となります。

酒母造りの場所は、酒母室(しゅぼしつ)もしくは酛場(もとば)と呼ばれ、雑菌や野生酵母が入り込まないように室温は5℃ぐらいに保たれていますが、麹室に比べると管理の厳重さを必要としないので、酒蔵によっては見学者を入れてくれる所もあります、その時は酵母が発酵する小さな独特の音が響いていますのでお聞きください。

酒母造りの際には、タンクの蓋は開け放しの状態になるから、空気中からタンク内にたくさんの雑菌や野生酵母が容易に入り込んでいきます。そのため硝酸還元菌や乳酸菌を加え、乳酸を生成させることによって雑菌や野生酵母を死滅させ駆逐することが必要となます。この乳酸を、どのように加えるかによって、酒母造りは大きく生酛系(きもとけい)と速醸系(そくじょうけい)の2つに分類されます。

[生酛系]

生酛系(きもとけい)の酒母造りは現在大きく生酛(きもと)と山廃酛(やまはいもと)に分けられています。

[生酛]

生酛(きもと)とは、現在用いられる中で最も古くから続く製法で、乳酸菌を空気中から取り込んで乳酸を作らせ、雑菌や野生酵母を駆逐するもので、酒母になるまでの所要期間は約1か月掛かります。所要期間が長いのは、工程が多く手間が掛かるのと、醗酵段階も完全醗酵させるからです。現在でも時間や労力が掛かるので敬遠される傾向にあるが、成功すればしっかりとした酒質となるため、伝統の復活のために取り組んでいる酒蔵も増えてきている。

主な工程⇒米、麹、水を桶(タンク)に投入 > 山卸 > 温度管理 > 酵母添加 > 温度管理 > 酒母完成

しかし、腐造や酸敗のリスクが大きかったことから明治42年(1909年)に国立醸造試験所(現在の独立行政法人酒類総合研究所)によって山廃酛が開発された。

[山廃酛]

山廃酛(やまはいもと)とは、生酛系に属する仕込み方の一つで山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)の略で、この方法で醸造した酒のことを 山廃仕込み(やまはいしこみ / -じこみ)あるいは単に山廃(やまはい)と言い、おおざっぱに言えば、生酛造りの工程から山卸を除いたものとなるが、単に山卸を省略したものではなく、関連するその他の細部の作業もいろいろ異なっています。「山卸」とは米と麹と水を櫂で混ぜる作業のことで「酛すり」ともいいます。

[速醸系]

速醸系(そくじょうけい)では、乳酸を人工的にあらかじめ加える、近代的な製法で明治43年(1910年)に考案されました。仕込み水に醸造用の乳酸を加え、十分に混ぜ合わせた上で、掛け米と麹を投入して行われ、速醸酛(そくじょうもと)とも呼ばれています。所要期間は約2週間で現在造られている日本酒のほとんどは、速醸系です。

主な工程⇒米、麹、水、乳酸を混ぜる > 酵母添加 > 温度管理 > 酒母完成